珈琲の酸味と苦み
|本日、以前に知り合ったK氏より、「酸味の出やすい(目立つ)コーヒー豆を教えてください」とメールが有りました。
世間では「モカが酸味が強い」とか「キリマンジャロが酸味が強い」などと言う方もいらっしゃるでしょうけど、ワシの答えは
「浅煎りなら産地問わず酸味が強い」
とお答えしました。
そう答えた理由は、Kさんの好みも分かりませんし、淹れ方などの詳細も全く記されていませんでしたので、そう答えるしかありません。
そしてその返事が
「コーヒー焼酎漬のサイトはどこも深煎りで酸味のある…とあります。」
と返ってきました。
ワシの中ではありえない事なのですが、「酸味の強い深煎りコーヒー」と言う物が存在するのでしょうか?
コーヒー豆と言う物は、前記した通り焙煎が浅いと酸味が出ます。
言い換えれば、浅い焙煎で酸味が出ない豆は有りません。
逆に焙煎度が深くなるに連れ酸味は無くなり、苦味が出てきます。
一般的に酸味が強いと思われているモカなどの珈琲豆がなぜ酸味が強いかと言うと、深煎りより浅煎りが美味しいとされているからだと思われます。
モカを口にしたときに鼻から抜けるフルーティーな香りと程よい酸味は、浅煎りでしか味わえませんので。
また、同じミディアムローストの焙煎度合いで焙煎した場合、元々酸味の強いモカの方が他の豆よりも当然酸味が強く感じるようになるので、モカは酸味が強いと言われているのだと思います。
しかし、いくら酸味が強いと言われるモカでも、フレンチローストなどの深煎りにすると酸味はなくなります。
微妙な酸味は有るのかもしれませんが、常人の舌では感じ取ることはできないでしょう。
酸味が残る焙煎度合いは、せいぜいシティロースト手前辺りまでだと思われます。
それでも「酸味が強い」と言う表現にはならないでしょう。
深煎りで酸味が強い珈琲と言うのは、思いつく限り古くなって酸化(劣化)したコーヒー豆位しか思いつきません。
質問をくれたKさんがどのサイトを見てその様な事を言ったのかは分かりませんが、少なくともそのサイトに書いて有ることは間違いであるとしか思えませんでした。
と言うのも、今まで十数年、色々なコーヒー豆を焙煎してきて、深煎りで酸味が強いコーヒー豆の記憶が全くありませんでしたし、私の知っているコーヒー屋さんやバリスタの方々からも「深煎りで酸味が強い」と言う話は聞いたことも有りませんので。
ワシの焙煎技術が劣っているからなのでしょうか、それともワシが知らなさすぎるだけなのでしょうかねぇ?
まぁ、何れにしても深煎りで酸味の強い珈琲なんて飲む気になれないので良いのですが。